表書きでよく使う「御」の書き方

野田 芳樹
2021/4/6

皆さま、こんにちは。愛知県春日井市・林昌寺副住職の野田芳樹と申します。

私の生まれた春日井市は書の達人である小野道風《おののとうふう》の生誕地ということもあり、書道文化が盛んです。お寺生まれでもある私は、小さい頃から書道をたしなんでいて、字を書くことが大好きです!

この「禅書庵」では皆さまに書の魅力を知っていただくために、書道のいろはから様々な文字・禅語の書き方、墨蹟《ぼくせき》の鑑賞の仕方などを発信していく予定です。ZENzine読者の皆さまと一緒に、書の文化を楽しめれば嬉しいです。

さて、今回は「御」という文字の書きかたのコツをお伝えします。【御祝】【御礼】【御供】【御布施】・・・などなど、表書きで書く機会の多い「御」。けれど、「画数が多くてバランスよく書けない!」という方は多いのではないでしょうか?

今回は一目おかれる表書きの第一歩として、「御」という字を楷書でお稽古してみましょう!
 

まずは動画をご覧ください


「御」の書き方

それでは、「御」を書く時に私が気をつけているポイント三つをお伝えします。

1、「彳(ぎょうにんべん)」のはらいの方向を少し変える

  • 一画目はやや横方向にはらう意識で。
  • 二画目はやや縦方向にはらう意識で。
  • 一画目と二画目のはらいの方向が変わると、字に動きが出ます。
  • ただし、やりすぎには注意!さりげなく変化をつけるのがポイント。

2、中央部分の横画どうしの間にできる空間は均等に

  • 横画が何本か重なる文字を書くときには、その間にできている空間が均等になっているか?が安定した字に近づけるためのコツ。

3、「卩(ふしづくり)」の上部の空間を広くとる

  • 上部の空間を広くとる方が、全体的に明るく洗練されたイメージに。
  • 逆に空間を無くしてしまうと、文字が肩肘をはったようなイメージに。
  • ただし、下げ過ぎには注意。全体のバランスを眺めて、ほどよい位置から十一画目(「卩」の最初)を書き始めてください。

さて、いかがでしたでしょうか?

画数が多い文字は少しハードルが高いと思われる方も多いかもしれませんが、ポイントをおさえれば安定感のある字が書けるはず。

洗練された「御」を書くことができれば、他の人から表書きを見られたときに「この人、できる…!」と一目おかれることでしょう。(少なくとも、私はそう感じます)

今回ご紹介したポイントはあくまで私が気をつけていること。そして「御」にも色々な書き方があります。(表書きの場合、行書で書くこともありますよね)ですので、この記事を参考にしていただきつつ、皆さんなりの書き方のコツを見つけながら、楽しくお稽古してみてくださいね。

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