朝は「おかゆ」でスタート(1)

亀山 博一
2021/4/8

朝のあわただしい時間。比較的簡単に調理できるだけでなく、心も身体もすっきりする「朝粥」がオススメです。「なんか味気ない」「病気じゃないのに」などと思うことなかれ。準備の手間も食べる手間も少なく、食べてからすぐに活動でき、しかも栄養豊富な禅寺のお粥は、一日のスタートにぴったりなのです。


禅寺の修行風景といえば「修行僧がお粥を食べている場面」を思い浮かべる方も多いと思いますが、本当にそうなのです。

実際に雲水《うんすい》(禅宗の修行僧)さんの朝食は「粥座《しゅくざ》」と呼ばれ、毎朝かならず粥《しゅく》=お粥をいただきます。

夜も明けきらぬうちに起床し、ほとんど休む間もなく日課が進行していく僧堂では、作る方も食べる方も大変です。そんな生活の中、大人数でも短時間で手間を掛けずに調理でき、限られた食材で作れ、しかもちゃんと必要な栄養を摂取できるのが、粥の良いところ。

少ないお米と少々の塩。ひとりあたり2切れ程度の漬物、梅干し1個。
食材が揃えやすく、短時間で簡単に作れる。
朝からほどよくお腹が満足。カロリー控え目で、栄養分は高い。
食べてすぐに活動でき、消化が早いので昼まで残らない。

まさに、修行生活から生み出された合理的かつ機能的な朝食と言えるでしょう。お昼にはお腹がグーっと鳴るかもしれませんが、適度な空腹でいただくお昼ご飯は、いつもより美味しく感じられること間違いなし!


お粥についてのあれこれ:

お茶碗、小皿、お箸。食器はそれだけ

用意する食器は、これだけです。準備も片付けも簡単。いつもひとつにまとめて置いておけば、迷うこともありません。
 

炊飯器で、手間いらず

最近の家電製品の進化はすごいですね。予約機能はもちろん、「おかゆモード」がついている炊飯器が多く発売されています。家の炊飯器に「おかゆモード」があれば、寝る前にお米を洗って炊飯器へ。朝食の時間にセットしておけば、アツアツのお粥が食べられます。
 

冷凍したご飯でも

冷凍庫の残りご飯をお鍋に投入し、水加減を調節してグツグツすれば、カンタンお粥の出来上がり。これなら準備も手間もかかりません。
 

味付けは塩をほんの少し

味付けは、最後の仕上げにお塩をほんの少しだけ。塩味がするかしないか、という絶妙なあたりで頂くのが禅寺風です。かぎりなくシンプルですが、お米の甘さと塩のうま味、独特なやさしい食感が、身体に染みわたります。何を食べても化学調味料多め、濃いめの味付けが多いため、私たちの味覚は飽和状態。朝のお粥で、舌や味覚をリセットできるのではないでしょうか。
 

梅干し、たくあん、すりゴマ。実はすごいやつら

僧堂の朝食は、粥の他に自家製の梅干しと沢庵漬け。ただそれだけ。僧堂によっては、「すりゴマ」が用意されるところも。「なんか貧乏くさい…」なんて言わないで!実はすごいやつらなのです。
 

  • 梅:酸味と塩気が強く、「一日一粒で医者いらず」とも言われる梅干しは、胃や腸の働きを活発にすると同時に、殺菌作用による食中毒予防、疲労回復にも効果的。カルシウム吸収促進、血流増加も期待できるそうです。
  • 沢庵漬け:梅干しと同じく発酵食品である沢庵漬けも、腸内環境を整え、便通を良くします。他の漬物(浅漬けでなく塩漬けがおすすめ)でも良いでしょう。
  • すりゴマ:ゴマにも不飽和脂肪酸、良質なたんぱく質、食物繊維、鉄分、カルシウム、ビタミン類などが含まれており、優良な健康食品とされています。お粥にたっぷりかけて食べると、香ばしくなってとっても美味しいです。ゴマなしとゴマありで食べ比べてみて下さい。
     

夏場は冷やしても美味しい(オススメ!)

お粥といえば、アツアツをハフハフ。そんなイメージがありますが、実は冷やしても美味しいのです。夏場などの暑い時、僧堂では水分多めで作ったものを、鍋ごと水を張ったシンクで少し冷やしてから頂くこともあります。冷やす時間がなければ氷や冷水を入れて温度を下げれば、夏バテで食欲がなくても美味しく食べられますよ!
 


本格レシピもご紹介

「たまには本格的にお粥を作ってみたい!」という方へ。本サイトで精進料理のレシピを連載中の、澤田珠音さんによるお粥のレシピは、こちらのリンクから。YouTubeチャンネルの動画もあります!
 
おんさんの精進ごはん「おかゆ」
 

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