作務衣で暮らしてみる

亀山 博一
2021/4/8

お百姓さんの労働着から生まれたといわれる作務衣。禅寺の生活になくてはならない必需品です。ゆったりしてリラックスできるのに、きわめて機能的で合理的。お手入れも簡単。「家に帰ったらジャージ」もいいですが、作務衣もおすすめです。


お坊さんの普段着、作務衣。お参りの時は法衣姿のお寺の住職も、お寺で過ごす時は作務衣を着ます。

作務衣の誕生には諸説ありますが、もとは明治以降の禅宗寺院で作業着として用いられるようになったもの。最初は「着物の上からモンペを履いたのが始まり」という話を聞いたことがあります。私たちが「作務衣」と聞いてイメージするあのデザインになったのは、それほど昔の話ではないようです。

このところ若い男性の間で涼しげな「甚平」が流行っていますが、甚平は「Tシャツ・短パン」的な夏のファッション。一方、作務衣はどちらかというと「ジャンパーに長ズボン」的なワークウェア。生地の厚さによって、夏用から冬用まで一年中着ることができます。
 

作務衣で暮らすメリット

機能的

もとは作業着なので、当然動きやすく作られています。袖がゴムで絞ってあれば、腕まくりするのもあっという間。上着の胸に内ポケットがあるものは、スマホがすっぽり入って邪魔になりません。とにかく機能的なのです。
 

リラックスできる

ゆったりしていて身体を締め付けないので、リラックスする時には最適です。木綿や麻などの天然素材のものであれば、肌触りや自然な風合いも楽しめます。
 

・コーディネートで悩まなくてもいい

洋服で出掛けようとして、上下の組み合わせや色合いなどがなかなか決まらず、悩む方も多いのではないでしょうか。その点作務衣はラクです。何も考えずに上下を着るだけ。
 

自由な着こなしで楽しめる

上下セパレートなので、暑い時には上着だけ脱いでモンペの上にTシャツやポロシャツなどを合わせても似合います。寒い時には、上着の中にタートルネックセーターやフードパーカーを着込んでもよし。ゆったりしているのでフリースジャケットやベストもOK。「和風っぽいので着こなしが難しい」と思われがちですが、実は自由度が高いすぐれものなのです。

さいごに

筆者自身、お参りなどで法衣を着る時と就寝時以外は、生活のほぼ9割を作務衣で過ごしています。
理由は簡単。とにかく便利でラクだから(笑)。

質素枯淡で質実剛健、無駄のない合理性を求める禅寺の日常から生まれた作務衣を着ていると、何となく気分も落ち着きます。動きやすくて、しかもリラックスできて、簡単に着られて、さらには着こなしの自由度も高い作務衣は、皆さんの日常をきっと心地良いものにしてくれるしょう。ぜひ、お試し下さい。
 


ZENzineおすすめ!天然素材の良質な作務衣

ZENzine編集部の神宮寺住職 谷川光昭師のお寺では、全て天然の原材料と染料を使い、タイの女性の手作業によって作られた作務衣を販売しています。熱心なファンを持つアクセス21の作務衣は、着ているのを忘れるような心地よさです。

NPO法人 アクセス21のウェブサイト
 

想いを紡ぎ続ける作務衣の物語

長野県松本市 神宮寺住職 谷川光昭

「人の温もりを感じることができる作務衣」

 
着てみると感じることができる、心地よさと温もり。
アクセス21の作務衣に初めて袖を通した方の感想で一番多いのは、そんな着心地のよさです。

この作務衣はタイの北部地方で作られています。タイを訪れたことはありますか?温暖な気候と、ゆったりと流れていく時間、そして人の温かさ。そんなタイの自然、風土をそのまま紡いだのがアクセス21の作務衣です。

さらさらとした優しい肌ざわり、着ながらにして感じる風の涼しさ、着続けることでなじんでくる色の味わいなどは一般の洋服などでは実感することはできないでしょう。

できるだけ人の手で、自然の素材にこだわって、そしてみんながしあわせになれることを目指してこの作務衣は作られています。例えば、作務衣の原材料はタイの北部で収穫された綿や麻、そして糸を染めるときに使う染料。化学繊維や合成染料などは使っていません。

また、作務衣を作る工程を辿ってみても、綿を収穫する人、糸をつむぐ人、糸を染める人、そして生地を作務衣に仕立てる人。そんなひとりひとりの手によって作られている作務衣は、まさしく手作りだといえるでしょう。

そんなたくさんの人の想いを紡いでいるからこそ、人の温もりを感じることができる作務衣が生まれるのだと思います。
 

苦しみに負けず、いつまでも笑顔でいたい

 
実は、この作務衣を生地から縫製して、仕立てているのはHIVに感染したタイの女性たちです。

タイでは1980年代から1990年代にかけて爆発的にHIV感染者が増え、エイズはタイだけの問題ではなく、私たち一人一人が考えるべき問題となりました。現在でも50万人ものタイ人がHIVに感染し、病気と闘っていると言われています。

目に見えない、いつ発症するかも分からないウイルスとの戦いは想像以上に辛く、周りからの差別や偏見は耐え難いものです。しかし、そんな逆境にも負けず笑顔で前向きな彼女たちを応援したい。それがアクセス21の抱いてきた使命です。

日本とは環境も文化も言葉も違うけれども、手を取り合えたからこそ出来た作務衣。女性たちの応援に協力していただける方にも、この作務衣に袖を通していただきたいと願っています。
 

 

page up