初めての人のための漢詩講座 14
第二章 漢詩のルール
*上級編! 平仄式は自分で作ることができる
本章で説明した平仄式のルールを知っていると、平仄式を自分で作ることができます。実際に平起式の平仄式を作ってみましょう。
それでは、おさらいです。漢詩は起句の二字目で平仄式が決まり、加えて以下のルールがあります。
1.起句、承句、結句は押韻し、転句は押韻せず●にする。
2.二字目と四字目は違う平仄にする。
3.二字目と六字目は同じ平仄にする。
4.一字目、三字目、五字目の平仄はどちらでもよい。
5.下三字は連続で同じ平仄(○○○ or ●●●)にしてはならない。
6.四字目が○の場合、その上下両方が●であってはならない。
(○○と最低二字○が続くようにする)
7.同じ字を二回以上使ってはならない(同じ句の中ではよい)。
これらをもとに平仄式を作っていきます。
まず、平起式の起承転結の二字目の並びは「○●●○」と決まっているので、
起句 ・○ ・・ ・・・
承句 ・● ・・ ・・・
転句 ・● ・・ ・・・
結句 ・○ ・・ ・・・
となります。次に、
起・承・結句は押韻し、転句は押韻せず●にする、というルールにより、
起句 ・○ ・・ ・・◎
承句 ・● ・・ ・・◎
転句 ・● ・・ ・・●
結句 ・○ ・・ ・・◎
二・四字目は違う平仄に、二・六字目は同じ平仄にしなければならないので、
起句 ・○ ・● ・○◎
承句 ・● ・○ ・●◎
転句 ・● ・○ ・●●
結句 ・○ ・● ・○◎
一・三・五字目の平仄はどちらでもよいので、
起句 *○ *● *○◎
承句 *● *○ *●◎
転句 *● *○ *●●
結句 *○ *● *○◎
下三字は連続で同じ平仄(○○○ or ●●●)にしてはならないので、
起句 *○ *● ●○◎
承句 *● *○ *●◎
転句 *● *○ ○●●
結句 *○ *● ●○◎
ついでに、平起式の転句の下三字「○●●」は「●○●」に変えてもよい、という便利なルール、挟み平も書き加えておきましょう。
起句 *○ *● ●○◎
承句 *● *○ *●◎
転句 *● *○ ○●●(or ●○●)
結句 *○ *● ●○◎
これで平起式の平仄式が完成しました。
ここでは、
6.四字目が○の場合、その上下両方が●であってはならない。
(○○と最低二字○が続くようにする)
7.同じ字を二回以上使ってはならない(同じ句の中ではよい)。
という2つのルールについては補足しきれていませんので、注意が必要です。
また、仄起式についても同様に作ることができますので、こちらは自分で作ってみてください。
平仄式を自分で作ってみると、平仄式のルールや構造をすぐに覚えることができるので、一度、白紙の状態から自分で作ってみましょう。慣れてくると、頭の中に「漢詩創作シート」があるのと同じになり、シートなしで漢詩を作っていけるようになります。
→(15)「*上級編! 平仄式の例外・拗体」へ