初めての人のための漢詩講座 14

平兮 明鏡
2021/7/15

第二章 漢詩のルール

*上級編! 平仄式は自分で作ることができる

本章で説明した平仄式のルールを知っていると、平仄式を自分で作ることができます。実際に平起式の平仄式を作ってみましょう。

それでは、おさらいです。漢詩は起句の二字目で平仄式が決まり、加えて以下のルールがあります。

 1.起句、承句、結句は押韻し、転句は押韻せず●にする。
 2.二字目と四字目は違う平仄にする。
 3.二字目と六字目は同じ平仄にする。
 4.一字目、三字目、五字目の平仄はどちらでもよい。
 5.下三字は連続で同じ平仄(○○○ or ●●●)にしてはならない。
 6.四字目が○の場合、その上下両方が●であってはならない。
  (○○と最低二字○が続くようにする)
 7.同じ字を二回以上使ってはならない(同じ句の中ではよい)。


これらをもとに平仄式を作っていきます。


まず、平起式の起承転結の二字目の並びは「○●●○」と決まっているので、

起句 ・○ ・・ ・・・
承句 ・● ・・ ・・・
転句 ・● ・・ ・・・
結句 ・○ ・・ ・・・

となります。次に、

起・承・結句は押韻し、転句は押韻せず●にする、というルールにより、

起句 ・○ ・・ ・・◎
承句 ・● ・・ ・・◎
転句 ・● ・・ ・・●
結句 ・○ ・・ ・・◎

二・四字目は違う平仄に、二・六字目は同じ平仄にしなければならないので、

起句 ・○ ・● ・○◎
承句 ・● ・○ ・●◎
転句 ・● ・○ ・●●
結句 ・○ ・● ・○◎

一・三・五字目の平仄はどちらでもよいので、

起句 *○ *● *○◎
承句 *● *○ *●◎
転句 *● *○ *●●
結句 *○ *● *○◎

下三字は連続で同じ平仄(○○○ or ●●●)にしてはならないので、

起句 *○ *● ●○◎
承句 *● *○ *●◎
転句 *● *○ ○●●
結句 *○ *● ●○◎

ついでに、平起式の転句の下三字「○●●」は「●○●」に変えてもよい、という便利なルール、挟み平も書き加えておきましょう。

起句 *○ *● ●○◎
承句 *● *○ *●◎
転句 *● *○ ○●●(or ●○●)
結句 *○ *● ●○◎

これで平起式の平仄式が完成しました。


ここでは、

 6.四字目が○の場合、その上下両方が●であってはならない。
  (○○と最低二字○が続くようにする)
 7.同じ字を二回以上使ってはならない(同じ句の中ではよい)。


という2つのルールについては補足しきれていませんので、注意が必要です。

また、仄起式についても同様に作ることができますので、こちらは自分で作ってみてください。

平仄式を自分で作ってみると、平仄式のルールや構造をすぐに覚えることができるので、一度、白紙の状態から自分で作ってみましょう。慣れてくると、頭の中に「漢詩創作シート」があるのと同じになり、シートなしで漢詩を作っていけるようになります。

→(15)「*上級編! 平仄式の例外・拗体」へ

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