ZAZEN-VR〜10分間の「VR坐禅体験」

亀山 博一
2022/4/10

目を開ければ、静かな寺の中に…

オンライン会議やSNSで「いつも誰かと繋がっている状態」に疲れていませんか?そんな時は高画質全天球動画と360°の環境音に包まれて、あなただけの時間を味わってみてはいかがでしょう。好きな時に好きな場所で、いつでもどこでも独りになれる10分間。ベッドルームにいながら「ここではないどこか」へ。それがZAZEN-VRです。

早朝の庭園で坐禅。小鳥のさえずりが響きわたります。

 
ZAZEN-VRの動画は、すべて「坐禅をする目の高さ」の固定カメラで撮影。禅寺の境内大自然で収録した10分間の高画質全天球動画(複数のレンズを持つ特殊なカメラで上下左右全ての映像を記録したもの)と、4つのマイクロフォンで同時録音した全方位の環境音が収められています。上下左右、好きな方向を自由に見回すことができますし、ヘッドフォンからはその方向の音が聞こえて来ます。

人間が外部から受け取る全情報の95%以上は「視覚+聴覚」。ゴーグル(映像)とヘッドフォン(音声)を通じて再生されるVR動画に没入すれば、そこはもう別世界。お寺の本堂や庭園、大自然の中にいるような気分を味わえます。タイトルやテロップは入っておりませんので、長時間のリピート再生でも中断されることはありません。

それだけではありません。臨済宗の坐禅で使う引磐《いんきん》や《たく》の音を合図に、和尚さんと一緒にお寺で本格的な坐禅体験ができる動画もご用意しています。
 

ホトトギスや野鳥の声を聴きながら、和尚さんと一緒に10分間坐禅。

 
実は、ZAZEN-VRの用途は「坐禅だけ」ではありません。ただボーッとリラックスするにも最適です。気分転換や、頭の中を整理したい時に利用するのもオススメ。何もしない(何もできない)10分間をどう過ごすかは、あなた次第です。
 
 

お寺の本堂や縁側、庭園などで収録しています。いつどこにいても、そこが禅寺に。

ZAZEN-VRに必要なもの

ZAZEN-VRのご利用には「VRヘッドセット」「ヘッドフォン」「YouTube VR(アプリ)」の3つが必要です。

VRヘッドセット(ゴーグル)
Meta Questシリーズ(Meta)、PlayStation VR(Sony Interactive Entertainment)などのヘッドセットを推奨。
Meta Quest(Meta)公式サイト
PlayStation VR(SIE)公式サイト


ヘッドフォン
ヘッドセットに接続して音声を再生できるものであれば、有線・無線を問わず使用可能です。Bluetooth接続した場合、機器によってはタイムラグ(映像と音のズレ)が生じる場合がありますのでご注意下さい。

 
YouTube VR(各社ヘッドセット対応 YouTube純正アプリ-無料)
QuestやPSVRなどのヘッドセットで、YouTubeで配信されているVR動画の視聴が可能な公式の無料アプリ。お使いのデバイスに対応したアプリをインストールしてください。
YouTube VR

 
簡易ヘッドセットについて
スマートフォンを差し込んで使う簡易ヘッドセットでも利用可能ですが、本格的なヘッドセットよりも視野角が狭く、接眼レンズの光学性能も低いため、VR体験の質は著しく低下します。ZAZEN-VRの臨場感を十分にお楽しみ頂けない場合もありますので、予めご了承下さい。
 

信州松本の山中で収録した動画。お部屋にいながら、清冽な景色と音の真っ只中へ。

ZAZEN-VRの利用方法

ここでは、現在最も普及しているVRヘッドセットMeta Quest (Quest2)ZAZEN-VRを視聴する方法ご説明します。PlayStationVRでも、ほぼ同様の手順でZAZEN-VRをお楽しみ頂けます。
なお、ネットへの接続速度によっては、画質が大きく低下する場合がありますので、できるだけ高速接続が可能な環境でお試し下さい。
 
 
■まずは、実際に坐禅をしてみましょう:
VR環境での坐禅が目的で利用される方は、坐禅に慣れてからご使用下さい。ZENzineのコンテンツ「坐禅」を参考にして、まずは「VRなしの坐禅」を体験することを強く推奨します。「ただリラックスしたい」という方は、ご自由にどうぞ。心地良い時間をお過ごし下さい。
 
 
最初に準備しておくこと:
 

  1. Questの「ストア」でYouTube VRを検索してダウンロードし、インストールします。
     
  2. ダウンロードが完了したら「アプリ」を開き、YouTube VRを起動してください。
     
  3. 検索アイコン(虫眼鏡)を押して「zenzine zazen-vr」を検索。
     
  4. 検索結果にZAZEN-VRの動画リストが表示されます。
     


■坐禅の準備(ZENzineの「坐禅のすわり方1-準備編」を参考にして下さい):
ZAZEN-VRは坐禅をしている目の高さで撮影しています。床やベッドの上にクッションや座布団などを敷いて、リラックスした状態でご利用下さい。「椅子に座った状態」や「立った状態」で視聴する場合、実際の目の高さとVR内での目の高さに差が生じるため、違和感を感じる場合があります。ご注意ください。
 

■準備ができたら、ヘッドセットとヘッドフォンを装着します
Quest内蔵のスピーカーでも音は聞こえますが、周囲の音が全て聞こえるため、没入感が損なわれます。ヘッドフォンの使用を強く推奨します。なお、VRヘッドセットとヘッドフォンを装着した場合、視覚と聴覚は周囲の環境から完全に遮断されます。ご利用の際には十分にご注意下さい。


■YouTube VRアプリを起動してZENzineの動画チャンネルにアクセスします
ご自身のYouTube VRアプリにお好きなチャンネルを登録するには、お使いのGoogleアカウント(YouTubeアカウント)と紐付けする必要があります。具体的な方法につきましては、このページの「YouTube VRアプリにZENzineの動画チャンネルを登録する方法」をご参照下さい。
 

■チャンネル内のお好きなZAZEN-VR動画を選択して再生します
ZAZEN-VRの動画は、今後も少しずつ追加して行く予定です。お楽しみに!
 
 
■それでは、坐禅をしましょう:
坐禅のすわり方についてはZENzineの「坐禅のすわり方2-実践編」をご参照下さい。
 
ヒント(1):VR動画は上下左右全てを見回すことができます。ですから、好きな方向を向いて坐ることができます。同じVR動画でも、本堂の縁側から庭園を見ながら坐ることもできますし、反対を向けば本堂内に向いて坐ることもできます。実際に自分が坐る方向を変えても良いですし、好きな方向を向いてからコントローラーのOculusボタンを長押しすることで、正面方向のリセットをする方法もあります。

ヒント(2):ZAZEN-VRの動画は、音声や画質、天頂補正などの調整以外は「無加工・無編集」です。アプリで「繰り返し再生」に設定すれば、動画の最初と最後の「継ぎ目」をほぼ意識することなく、連続再生でお楽しみ頂けます。


■YouTube VRアプリにZENzineの動画チャンネルを登録する:
 

  1. 始めてYouTube VRでチャンネル登録を行う際、画面に「認証用URL」と「コード」が表示されます。
     
  2. お使いのスマートフォンやPCのブラウザで、認証用URL「youtube.com/activate」を入力します。
     
  3. 検索結果の最上部に「ログイン – Googleアカウント」というページが表示されますので、これを選択します。
     
  4. デバイスの接続」というページが表示されたら、Questに表示されたコードを入力して「次へ」をクリック。
     
  5. QuestのYouTube VRを接続するアカウントを選択して、接続完了です。
     
  6. QuestのYouTube VRに戻り、ご自身のアカウントとYouTube VRが接続されていることをご確認下さい。
     
  7. これで、ZENzineの動画チャンネルをYouTube VRに登録できます。

     
日本最南端の波照間島の美しい砂浜で、波の音を聴きながら坐れる動画も。

補足:ZAZEN-VRについて

自分の部屋にいながら、いろんなお寺で坐禅ができたら面白いのでは?
SNSやオンラインで他人と繋がることに疲れた人が、”ひとりになる”ためのツールを

VR技術を利用した坐禅」というアイデアは、コロナ禍前の2019年7月に考案したものです。以来2年間にわたって検証と準備を進め、従来の坐禅とは異なる実験的な「遊び」として、ZAZEN-VRを公開することにしました。

言うまでもなく、坐禅とは「即今・而今(いま、ここ)」に徹する修行です。周囲の音や景色が気になったり、環境に振り回されて集中できないようであれば、坐禅になりません。
 
「VRで映像や音を再生しながら坐禅をすることに、何の意味があるのか?」「自分だけの世界に閉じこもってしまうだけなのでは?」と訝しく感じる方もいるでしょう。

しかし、このZAZEN-VRは、そもそも「坐禅に集中していれば、視覚や聴覚を通じて感受する情報は“ホンモノ”でも”ニセモノ”でも関係ないのでは?」という逆転の発想からスタートしました。
 
また、コロナ渦の外出自粛で人々が孤独を感じる中で「ネットを通じて人と人を繋げる坐禅」という坐禅の新たな方向性を切り開いた「オンラインでの坐禅会」とは正反対のアプローチを試みるものであります。

「ヘッドセットとヘッドフォンが必須」というスタート時のハードルの高さは否めませんが、「いつでもどこでも好きな場所で、誰ともつながらず、ひとりになれる坐禅」というZAZEN-VRの方向性には、単なる「遊び」以上の可能性があると考えています。VR機器をお持ちの方は、是非お試しください。

*ZAZEN-VRの動画・静止画は、全天球カメラRICOH THETA Z1で撮影しています。

 RICOH THETA Z1 公式サイト

Special thanks to Jenny Cadwallader

page up