ぶれない生き方~風鈴の如くに(1)

山田 真隆
2026/6/22

「ぶれる」という言葉、調べてみますと、どうも新しい言葉のようです。

元はカメラで撮影をするときの、被写体にピントが合わないことを「ぶれる」と言ったのが始まりのようで、それがいろんな表現に転用されていったようです。

現在では、カメラ用語だけでなく、「ぶれない生き方」、「ぶれない考え方」などのように人生訓にまで使われるようになりました。

カメラの世界では、今では優秀な手ブレ防止機能が当たり前のようについており、カメラの手ブレはほとんど無くなりました。
が、同時に、その本来の使われる場を失った「ぶれる」という言葉が、むしろ本来の意味を飛び越して、いろんな場面で使われるようになったと感じるのは私だけでしょうか。

「ぶれる」の語源は「振る《震る》」から来ています。生命が細かく振動し活動している様を意味する言葉。語源の意味からすると、「ぶれない」では生命が活動していない、という意味になりますが、現代社会では、ぶれないことの方が何かにつけて尊ばれてしまっています。

今は、時代の流れが速く、移り変わりが激しいため、それに流されずに生活することができない現代人の、一種の憧れのようなものが、この「ぶれない」という言葉から感じられるように、私は感じます。


ところで、私もかれこれ20年近く、写真を趣味でやっております。

写真を撮る時の、なんといっても最大の敵は「ブレる」ということです。ブレて、写真のどこにもピントが合っていないことをピンボケといいますが、どんなにいい被写体を撮っても、このピンボケが起こると台無しになります。

私が写真を始めたころはまだフィルムカメラが主流でした。だから、ピンボケかどうかは現像してみないとわからなかった。しかし、デジタルカメラが台頭してきて、ピンボケもすぐに撮影画像を確認できるようになってくると、ピンボケは少なくなってきた時代でもありました。

そして次第にデジタルカメラが主流になっていき、性能も良くなっていきました。
その性能の一つに先ほども言いました「手ブレ防止機能」がありました。

手ブレ防止機能が流行した背景には、デジタルカメラの急激な画素数の増加がありました。何百万画素時代から何千万画素時代の変化に伴い、手ブレが目立つようになり、手ブレが深刻な問題として出てきたからです。

手ブレ防止機能は、写真が趣味の者にとってこれほど心強いものはありません。
ただ、初期のころの手ブレ防止機能はまだまだで、手ブレ機能をオンにした方がブレるなんてこともありました。
今では、ほとんどのカメラに手ブレ防止機能は当たり前のようについていると思います。現在、私が所持しているカメラにも、もちろんついています。


ちょっとここから、家電量販店の店員さんのようなカメラの説明の話をしますが、あとに続く話ですので、辛抱して読んでください。

手ブレ防止機能といっても、大きくその仕組みは二つに分かれます。

一つはカメラ内の撮像センサーといわれる、フィルムカメラでいうフィルムに当たる物が手ブレにあわせて動いてブレを軽減するものです。

もう一つは、レンズ内に搭載してレンズを動かすことによってブレを軽減するものです。効果としてはレンズ内蔵が優秀ですが、ボディ内蔵はどんなレンズでも手ブレ防止が使えるという利点もあります。

ここまで、カメラの話をしてきましたが、何を言いたいかというと、カメラは手ブレしないために手のブレに合わせてセンサーやレンズを動かしているということです。

ブレないために動かす、これは人間も同じではないでしょうか。

(第2回に続く)

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